総合グローバル学部 レポート 2

総合グローバル学部

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 あなたが現在関心を持ち、大学でさらに学びたいと考えてい る社会課題を1つ取り上げ、それがどのような問題なのか説 明した上で、その理解と解決のためにローカルな視点とグロ ーバルな視点がどのように重要であるかを、具体例を挙げ ながら述べなさい。その際、4 冊以上の文献を本文中で参照 して、文末に文献表を付すこと。

 私が興味を抱いているグローバルイシューは地球温暖化である。私は⾼校2年の時にス イスで⾚⼗字⾚新⽉社博物館を⾒学した。そこで、地球温暖化に関する展⽰物が私の⽬に留 まり、特に海⾯上昇について強く興味を持った。これがきっかけとなり私は地球温暖化につ いて⼤学で学びたいと考えるようになった。 
 地球温暖化は、⼆酸化炭素などの温室効果ガスが⼤気中に排出されて起こる温室効果に よって発⽣する。本来なら、地球を豊かな惑星にしているはずの温室効果は 20 世紀から顕著になり、数々の国際機関は現在の温暖化の進⾏は偶然ではなく、ほぼ確実に⼈類の活動に よるものだとした。地球温暖化は台⾵の巨⼤化や海⾯上昇、砂漠化、熱波などを引き起こし ている。本稿では、その中の⼀つである海⾯上昇と環境難⺠を南太平洋諸国に焦点を当てて 考える。現在、地球温暖化によるグリーンランドや南極の氷床の融解と海⽔の膨張により変 化が起きている。海⾯上昇の被害をすでに受けている、もしくは、将来被害が予想される地 域はモルジブ、ツバル、エジプト沿岸など広範囲だ。地球温暖化が多⽅⾯に及ぼす影響によ って⽣活の場を失う⼈は環境難⺠と呼ばれる。今年 2020 年 1 ⽉にはキリバス出⾝の男性が 2015 年の気候変動を理由に難⺠申請をニュージーランドに却下されたことを、国連⼈権理 事会に申し⽴てた。グランディ⾼等弁務官は、環境難⺠は確実に数百万単位であるとし、戦 争や迫害などと同じように命に危険が及ぶため、各国は環境避難⺠を受け⼊れるべきと述 べた。実は、環境難⺠の多くは国境を超えず、国内で発⽣している。国境を超えたとしても、 1951 年の「難⺠の地位に関する条約」の定義で、難⺠とはみなされない。紛争や迫害が連動した災害/気候要因の結果として⼈々が避難する地域でしか 1951 年の条約が適⽤されな いのである。現在すでに海⾯上昇の被害を受けているツバルでは、隣国ニュージーランドへ の移住計画を⽴て実際に⾏っている。各国の独⾃の取り組みが⾏われなければ⼈々の安全 は保証されないのが現状だ。
 そこで私は、これらの問題をグローバル(地域を超えた国際協⼒)な視点とローカル(南 太平洋諸国の⾃⼰防衛)な視点から考えてみた。問題解決には、問題が起きている地域の歴 史や国際関係を踏まえた上で、他⼈事ではなく⾃分が当事者であった場合を想定して問題 解決に取り組むことが必要であると私は考える。そのために、グローバルな視点とローカル な視点の両⽅が重要である。 
まずは、地球温暖化の進⾏を根本的に⽌めることが必要だ。地球温暖化の被害をもっとも 受ける⼈や地域は温室効果ガスの排出が世界でもっとも少ない。温室効果ガスの直接の排
出源の⼤部分は、エネルギー転換にある。しかし、家庭や職場で使う電気をつくっているわ けであるから、家庭や職場の責任は実は⼤きい。このことを踏まえると、産業に重きを置く ために国際条約への批准を渋っている国でも、⾃国の温室効果ガス排出の現状を詳しく理 解することで、排出削減の新たな⼿がかりを得ることができるかもしれない。例えば、アメ リカでは産業部⾨の次に不動産部⾨での⼆酸化炭素排出が多いので、家庭での排出削減に より⼒を⼊れるということだ。これを実現するために、国際機関などが調査の上で国に合っ た温室効果ガス削減⽅法を提案することでより多くの国の協⼒を得られるはずだ。さらに、 南太平洋諸国の職業⼈育成や技術提供をすることで現地の産業が拡⼤し、徐々に他国から の資⾦援助に頼らない設備投資の実現に繋がるはずである。 
 現在、海⾯上昇の被害が特に深刻な国は環礁国であるため、中⼼部では地下から海⽔が溢 れ出し、沿岸部は海⽔によって浸⾷され削られている。政府は地盤を強化したり、海抜を高めたりする取り組みを推進するべきである。しかし、⼀次産業や若者の出稼ぎ、他国から の無償援助に依存している国家経済は脆弱である。オーストラリアは永住ではなく、3 年間 の労働を南太平洋諸国に提供している。国家廃⽌の決断の前に、このような政策を利⽤して 技術者を育成し、国家経済が成⻑すれば設備投資につながり、故郷を守ることにつながるは ずだ。また、私たちは島が完全に居住不可能になってしまい、他国との協⼒が不可⽋になっ た場合も想定すべきである。ニュージーランドへの移住は、いくつかの条件があるため、避 難可能な年齢層が限られることや、ある程度の技術を保持する⼈しか避難できないことが 問題になる。加えて、受け⼊れ国の⽂化や伝統を尊重しつつ、⼩さな島国ならではのコミュ ニティの結束⼒を⽣かして、⾃分たちの⽂化や伝統を途絶えさせないことも課題である。 
 地球の利益を第⼀にすると⾔う共通理解がなくては、地球温暖化の解決は望めない。地球 温暖化という、「将来の問題」ではなく「現在進⾏形」の危機を今すぐ⾒直し、世界が共通 の⽬標を掲げて協⼒して乗り越えていかなくてはならない。 

参考⽂献 
『地図とデータで⾒る移⺠の世界ハンドブック』 カトリーヌ・ヴィクトール・ド・ヴァン ダン (源書房 2019 年 6 ⽉) 
『ツバル 地球温暖化に沈む国』 神保哲⽣ (春秋社 2007 年 7 ⽉) 
『⼿にとるように地球温暖化がわかる本』 村沢義久 (かんき出版 2008年 1⽉) 
『温暖化の世界地図』 カースチン・ダウ (丸善出版 2007 年 5 ⽉) 『地球・環境・⼈間』 ⽯弘之 (岩波科学ライブラリー 2006 年 10 ⽉)


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